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第1話:潰瘍性大腸炎の診断

2024.01.02

みなさま、はじめまして、イラストレーターの横山ぐぐと申します。

イラストレーター歴は7年になります。

実はこの年数、私が永久人工肛門(以降ストーマと申します)を造設してからの年数と一緒です。

この間、人生のどん底から天国へと変わる経験をしています。

あのどん底の日々を思い出すと、早く手術をしたらよかったのに、と後悔しているほどです。

ただ、ストーマを造ったことでかなりの制限もありますし、出費も増えました。今回は、これまでに経験したことを少しお話しさせてもらいます。

まずは、ストーマを造る原因となる病気を患ったことから始めます。

ストーマの造設はいきなり訪れたわけではありませんでした。

11年前、私は地方公務員として勤務していましたが若かったこともあり、年長者との接点が多い職場でコミュニケーションに悩み、少し心を病んでしまいました。

その後、新しい職場で飲食店のメニューやPOP作成のお仕事をいただくようになります。小さい頃からイラストは描いていたので、順調に仕事をこなしていましたが、小さな業界ならではの人間関係により、ふたたび調子を崩すようになってしまいました。

そんなある日、職場に着くと急激な腹痛に襲われました。

急遽、近くの個人病院で診察を受けたところ『盲腸』との診断を受け、すぐに紹介状を書いてもらい、市立病院へ向かいました。

市立病院でいろいろな検査を受けたのですが、結果盲腸ではありませんでした。

ほっとしたのはいいのですが、その場で病名が付かなかったのです。とりあえず、痛み止めと下痢止めを処方され、その日は仕事を休み帰宅しました。

この日からおよそ1か月間、薬を飲んでも止まらない腹痛と下痢が続きます。毎週病院に行き、「症状が治まらない」と訴えましたが、同じ薬を処方されるだけで、一向に改善しません。

食事もとれず、腹痛で何度もトイレに駆け込むため、仕事に行くことが出来ません。

最後には夜、立ち上がることも難しくなり、夜間救急に運び込まれ、そのまま入院となりました。

そこで大腸内視鏡を実施し、ようやく『潰瘍性大腸炎の疑い』と診断されたのです。

ふたたび紹介状を持ち、今度は大学病院に転院します。

大学病院ではさらに詳しい検査を行い『潰瘍性大腸炎』という指定難病の確定診断がくだり、専門の治療が始まるのですが、私にとって、ようやく原因不明の苦痛の正体が判明した瞬間でした。

潰瘍性大腸炎とは簡単に言うと、血中の白血球が異常増殖することで大腸の内膜を傷つけ潰瘍を作ってしまう病気です。激しい腹痛と下痢を繰り返し起こすため、一日のトイレ回数が40回を超える日が続きます。

根本的な治療法が確立されていないため、国の指定難病に登録されています。

完治は難しいが、“寛解”という症状が出ない状態に持っていくことは可能だと聞きました。

一日20錠の薬と絶食、無数の点滴の管。初めての入院は心細さと、お腹や身体の激痛、ひもじさに加え、『難病』という言葉に、死んでしまうのではないか、という絶望の気持ちに襲われ、夜中にひとりで泣いていました。

ここからストーマを造るまでのおよそ3年間が、私にとって長く苦しいどん底のような闘病生活となります。

PROFILE
横山ぐぐ さん

福祉イラストレーター

人工肛門を保有するイラストレーター。
難病の潰瘍性大腸炎を患い、3年間の闘病も空しく回復の余地がなかったため大腸を全摘出し、人工肛門を造設。
1つ目の人工肛門は腸閉塞の末、小腸穿孔で閉じ、2つ目を造設。
この入院中にオストメイトのマンガを描き、それがきっかけでイラストレーターとなる。
現在はイラストレーターとして各種イベントや展示に出展し、各企業のチラシやPOP等の作成をしている。