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この子だけの特別なケア

2023.01.10

人は出生してから徐々に感情が発達し、5歳ごろには成人とおなじくらい感情ができあがるといわれています。

新生児期(生まれてから1か月)は「興奮」のみですが、まずは「不快」の感情が生まれ、次に「快」の感情が生まれます。

よって、出生後すぐのこどもへのストーマケアは、興奮させてしまう、または不快な気持ちにさせてしまうケアになります。

私は皮膚・排泄ケア認定看護師として活動する前に、NICU(新生児集中治療室)で働いていました。

そこでのストーマケアはこどもにとって必要なケアであるのに、こどもや家族を悲しい気持ちにさせると感じていました。

ケアによって泣き続けるこどもの姿や、そのこどもを前に「ごめんね」を繰り返しながらケアをするパパやママの姿にも心が痛みました。

ストーマケアを悲しくてつらいだけのケアでなく、大切で特別なケアと感じてもらえるように活動するという私の目標ができました。

こどもに対するストーマケアへの印象が変わらないまま、皮膚・排泄ケア認定看護師としての活動が始まりました。

初めて指導をしたこどもはNICUに入院していた双子のお姉ちゃんで、およそ8か月間、ストーマケアをおこない、ストーマを閉鎖する手術をおこないました。

ママにとって双子の育児ときょうだいの世話、そしてストーマケアのある生活は、本当に大変だったでしょう。

私が十分なケアを提案できず、寝返りを始めた時期には便漏れによる予定外の装具交換が多くありました。

待ち望んだストーマ閉鎖の手術を終え、ストーマケアが終わったことにどれほど安心しているだろうと、私はママに声をかけました。

すると、「ストーマケアは本当に大変だったし、つらかった。でも今、ストーマがなくなってみると、この子だけの特別なケアがなくなってしまったなぁという寂しい気持ちが一番にあります」と、ママは私が予想もしない気持ちを話してくれました。

その言葉を聞き、ストーマケアを悲しくつらいだけのケアでなく、大切で特別なケアと感じてもらえるように活動するという私の目標ができました。

現在、“こどもがストーマケアに対して負の感情を抱かないように”という取り組みがたくさんあります。

新生児期のこどもは両手で優しく包み込んだり、おくるみをしたりすることによって、ママのおなかの中にいる気持ちになり落ち着くことができます。ケアの時の興奮や不快をできるだけ減らすよう心がけています。

乳児期(生後1か月から1歳まで)も、手足をタオルなどでくるんで落ち着かせ、ケアをおこないます。

幼児期や学童期になると、好きな柄や肌ざわりの布地でストーマカバーを作ることで、ストーマのある生活が快適で楽しい気持ちになるかもしれません。

最近ではストーマの袋にシールやステッカーなどを貼ったり、直接絵を描いたりすることによって、デコレーションした自分だけの装具を楽しむことが流行しています。

インターネットやSNSに、かわいい袋や芸術的な袋が紹介されていますので、ぜひ見てみてください。

PROFILE
鈴木真由子 さん

皮膚・排泄ケア認定看護師

<略歴>
神奈川県立こども医療センター入職(2006)
認定看護師資格取得(2016)

あなたの「げんき」と「えがお」のためにみんなでちからをあわせます。