ザイタックでは日々、オストメイトの方や医療従事者の方からストーマケアに関する多くのご相談を頂いています。

その中で、使用しているストーマ装具を変更したい（以下、装具変更）という要望を頂くことがあります。装具変更を希望する理由は、「漏れてしまうから」といったトラブルが原因のものから「安いものにしたい」といった金銭的な原因のものまで様々です。

そこでこの記事では、ザイタックが普段からいただいている装具変更の要望を実例として紹介し、その実例をもとに、ストーマ装具が合わないと感じたときはどのような行動を起こすべきかをお伝えしていきます。

1.オストメイトが装具変更を考える理由

「漏れ」や「肌荒れ」などのトラブル

装具変更を希望する理由として最も多いのが「便が漏れてしまった」や「皮膚が荒れてしまった」などといったトラブルによるものです。

「漏れ」や「肌荒れ」時の具体的な事例は以下の通りになります。

他にも原因はありますが、主にこのような原因で「漏れ」や「肌荒れ」などのトラブルが発生しているケースが多いです。

そして、その解決策として装具変更を希望される方が多いのですが、必ずしも装具変更が根本的な解決手段とはなりません。

次の章ではこれらの原因に対して、まずはどういった対策をとるべきなのか、装具変更をする前に確認しておきたいことを紹介していきます。

金銭的な負担を抑えたい

もうひとつの大きな理由としては金銭的なものがあります。

ストーマ装具は決して安いものではありません。当然「もっと安い装具を使用したい」というお声をいただくこともあります。

特に、給付制度を受けられない一時的ストーマの方にとっては金銭的な負担が大きいです。

給付制度を受けられている永久的ストーマの方であっても、交換頻度や併用しているアクセサリーによっては給付金額を超えてしまいご自身で負担するというケースも多くあります。

金銭的な理由で装具変更を希望する場合は、ご自身で判断せずストーマ外来を受診するようにしましょう。ストーマ外来の受診方法については、後ほど詳しく説明いたします。

2.装具変更の前に確認すること

お伝えした通り、装具変更が全ての解決策になるとは限りません。

トラブルの原因別に確認事項をまとめましたので事前に確認してみてください。ただし、ここで紹介するものはあくまで一般的な対応策ですので、基本は病院での指導内容を最優先にしてください。

体型が変わってストーマ周囲にシワやくぼみができた場合

ストーマ周囲の皮膚にシワやくぼみができてしまい、その部分から便が漏れていることが判明した場合は、そのシワやくぼみを埋めることで予防することができます。

ストーマケアアクセサリーの中に「用手成形皮膚保護剤」と呼ばれるものがあります。粘土状のやわらかい素材でできているため、手で成形することができ、容易にシワやくぼみに埋め込むことができます。

ただし、使用方法を誤ると更なるトラブルに繋がりかねませんので必ず医療者に相談してください。

「用手成形皮膚保護剤」については、ザイタック通信の別の記事でも取り上げていますのでご参照ください。

皮膚保護剤リングの特徴と使用方法

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ストーマサイズが変化した場合

一般的に手術直後のストーマサイズは不安定で、時間が経過するにつれて少しずつ小さくなり安定していくと言われています。

しかし、こういったサイズの変化に気付かず、手術直後のサイズに合わせた装具を使用し続けていたために便漏れや肌荒れを起こしてしまったというケースがよくあります。

ストーマサイズの測定はご自身でも可能ですので定期的に測定するといいでしょう。

また、ご使用中の装具と同じシリーズ内に、ご自身のサイズに合ったプレカット装具があれば装具変更も可能になります。自身のストーマサイズに合った装具を使用するようにしましょう。

ストーマサイズの測定方法については以下の記事で詳しく取り上げていますのでご参照ください。

ストーマのサイズについて

便の性状が変化した場合

「今まで固形だった便が水っぽくなったことで漏れてしまった（染み出てしまった）」という声をいただくことがあります。

ストーマ装具の排出口には、固形便を排出しやすいマジックテープ式のものと、水様便を排出しやすいキャップ式のものがあります。ご使用中の装具と同じシリーズ内に、キャップ式の装具があれば変更変更をすることも可能です。

ただし、キャップ式の装具の方が高価格であることと、操作性が変わったために使用しづらくなるといった場合がありますのでご注意ください。

また、装具変更をしなくても済む方法として「凝固剤」といったストーマケアアクセサリーがあります。「凝固剤」は水に触れるとゲル化するようにできているため、あらかじめストーマ装具の中に入れておくことで水様便がゲル状に固まってくれます。

凝固剤の詳細についてはザイタック通信の別記事でまとめていますのでご参照ください。

凝固剤の特徴と使用方法

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その他に確認するべきこと

ここまでトラブルの原因をいくつか紹介しましたが、そもそも「トラブルが発生している原因がわからない」という方も非常に多いです。

こういった場合、原因を解明するためには医療者に診てもらうことが確実ですが、実際のストーマ外来は予約が必要で当日にふらっと行けるというわけでもありません。

そこで、漏れや肌荒れが起きてしまっているような場合は、まず下記のことを確認してみてください。基本的なことですが、意外とこういったことで改善するといったケースが多いも事実です。

3.ストーマ外来のご案内

ここまで、トラブルの原因や事前に確認するべきことを紹介してきましたが、当然、全てをご自身で判断し解決することはできません。また、自己判断で行動を起こしてしまうと更なるトラブルを誘発する危険性もあります。基本的な確認事項はご自身ですることも大切ですが、トラブルがあったような際は医療者の判断を仰ぐことが何よりも確実で安心です。

特に装具変更を検討される場合には、病院で行われているストーマ外来を受診してください。その理由は、ほとんどのストーマ装具に皮膚保護剤と呼ばれる成分が使用されているためです。

装具変更をして皮膚保護剤が変わると、変わった皮膚保護剤の成分が皮膚に合わずトラブルを引き起こしてしまう危険性があります。このようなリスクがあるため、金銭的な理由などのトラブルを伴わない装具変更の場合でもストーマ外来を受診することは大切です。変更したいストーマ装具がご自身に合っているかどうかを確認してもらった上で装具変更を行いましょう。

また、可能であれば手術をした病院のストーマ外来を受診しましょう。手術した病院であれば、入院時の装具選択経緯や体調・体格の変化などを最も把握していますし、手術された病院以外でストーマ外来を受診しようとすると、紹介状を持参する必要があるため余計に時間がかかってしまいます。

手術された病院がストーマ外来をやっていないとき

まずは手術された病院のホームページや電話でストーマ外来の有無を確認してください。もし手術された病院にストーマ外来がない場合は、インターネットの検索サイトにて「ストーマ外来」と検索するとストーマ外来の情報が確認できます。

また、下記のリンク先は日本創傷・オストミー・失禁管理学会事務局が運営しているサイトで、全国のストーマ外来を検索することができます。

試しにご自宅近辺のストーマ外来を検索してみてはいかがでしょうか。

ストーマ外来を検索する

ストーマ外来は多くの場合予約制をとっているため、あらかじめご自身かご家族の方で予約をする必要があります。

すぐに受診できるわけではありませんのでご注意ください。また、受診の際は普段使用しているストーマ装具とアクセサリーを持参していくと良いでしょう。

ザイタックでもストーマケア個別相談会を開催しています

ザイタックでは、ストーマケアのお悩みや装具・アクセサリーの使い方について皮膚排泄ケア認定看護師に相談ができる個別相談会を開催しています。

月に1回開催をしており事前にご予約が必要です。詳細についてはザイタックお客様サポートセンターまでお問合せください。

※予約状況や皮膚排泄ケア認定看護師の予定によっては、開催時期が前後したり、相談会が実施されない場合もございます。お客様には何卒ご理解いただきますようお願いいたします。

4.まとめ

いかがでしたか？

ストーマ装具を変更したいと考える際の理由は人によって様々です。トラブルが原因だった場合、その解決策も原因によって異なってきます。

繰り返しとなりますが、今回紹介した内容はあくまで一般論であり皆様に共通することではありません。

トラブルが起きてしまったらまずは病院に相談をし医療者の指示を仰ぎましょう。

そしてなによりトラブルにならないことが大切です。今一度、基本的なケアから見直してみてください。

日々のケアの積み重ねが、快適なストーマライフを過ごすための一番の秘訣です。

コラムコーナー「こころのふれあいひろば」のお知らせ

ザイタックのホームページでは、「オストメイトの明るいくらし」を実現するためのコンテンツとして、各界の有識者によるコラムコーナー「こころのふれあいひろば」を開設しています。

認定看護師、理学療法士、ヨガインストラクター、訪問看護師など、様々な方面でご活躍されている方から、オストメイトのみなさまへお伝えしたい思いをお届けしております。

様々なコラムを用意しておりますので、ぜひお立ち寄りいただき、色々な情報に触れてみてください。

ご自身の興味のある情報はもちろん、今まで触れてこなかった情報に触れることで、なにか新しい発見があるかもしれません。

「こころのふれあいひろば」が、オストメイトのみなさまの「明るいくらし」のキッカケのとなりましたらうれしい限りです。

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